ビーズの紹介

ここでは簡単にですが、各ビーズの説明をしていきます。ただし、本題の天珠については後ほど詳細に説明していきたいと思いますのでここでは割愛させていただきます。また、後述いたしますがエッチドカーネリアン、スレマニおよびパムテックビーズ(ブンテックビーズ)についてもここでは割愛させていただきます。

1.ファイアンスビーズ
 紀元前26世紀頃のエジプト、中近東諸国で作られたもので、石英の微粒砂を固めてその上にガラス質のうわぐすりを塗って焼いたものである。神殿などへの奉納品として使用されていた。

2.トンボ玉
 紀元前32世紀頃には作られていたようだが、完全なガラスのものは紀元前2500年頃に作られはじめた。発祥はメソポタミアと言われており、大量生産され始めたのが紀元前16世紀頃でバビロニア王国でも作られるようになる。紀元前15世紀頃にはエジプトでも作られるようになり、貴族の装飾品や魔よけの宝石として用いられ、中世、近世には交易品としても用いられるようになった。

3.大珠、勾玉など
 大珠は紀元前3000年頃から紀元前300年頃にかけて作られていたヒスイ製で小判型の上部付近に穴が開けられたもので、呪術的な道具として用いられ、呪術者や統治者の占有品であった。しかし、弥生時代には伝承されなかった。新潟県糸魚川産のヒスイで作られた紀元前1500年頃の大珠が沖縄県で見つかっている。
 勾玉は紀元前3000年頃から紀元後8世紀頃に見られる装身具の一つで、他にも露玉、平玉、小丸玉、ねじり玉、雁木玉および辻玉などの装身具がある。多くはヒスイ、メノウ、水晶および滑石などで作られ、土器製の物も見つかっており、紀元前6世紀から紀元後3世紀初頭にはアマゾナイト製の勾玉が見られる。魔を避け幸運を授かるものとされ、朝鮮半島や中国との交易品として使われていた。

4.玉(ギョク)
 紀元前5000年頃の長江流域および黄河流域の文化に見られる。発祥は長江の良渚文明と言われており、様々な形や動物彫刻が見つかっている。主にネフライト製で呪術的な道具、軍事権力の象徴および政治権力の象徴とされ後に幸運を呼ぶものとされた。
 玉(ギョク)は「磨くと光る石」、「宝」または「王」という意味も持っていてビーズ以外のものも指す。
(どちらかといえばビーズには分類されないかも)

5.ナザールボンジュ
紀元前1000年頃からトルコで作られているガラス製の目玉模様をしているお守りで、主に青いガラスの上に目が描かれている。ガラスの目玉が邪眼を跳ね返し、病気や不幸から身を守ると言われ、大小デザイン別にいろいろな種類があり、守るものの対象に合わせて目玉の大きさを選ぶと良いと言われている。

6.フェニキアビーズ
紀元前600年代から紀元前100年代頃に古代地中海東岸(現在のシリア一角、シリアのタルトゥース辺りから南はパレスチナのカルメル山に至る海岸沿い)で作られたガラス製のビーズで、貿易用の商品(貨幣)として使用されていた。後にヨーロッパのケルト人、東洋の春秋戦国時代の中国に伝わった。

7.インドビーズ
 紀元前7世紀頃から作られていたもので、紀元前3世紀頃にはガラス製やメノウに腐食加工したものが多くみられる。インド北部と南部から出土し、北部と南部では紋様に若干の相違がみられる。

8.戦国玉
 紀元前475年から紀元前221年にかけて作られた中国製のトンボ玉である。鉛バリウム系のガラスを使用している。鉛の混入率が高いため通常のガラス製トンボ玉よりも重い。

9.ローマングラス
 厳密に言うとビーズの分類には入らないのだが、ビーズのように装飾品として利用されているので記載しました。紀元前100年代から紀元後300年代に作られたガラス製品が、土中で銀化現象(風化現象の一種)を起こしたもので、ビーズとしてのローマングラスは、銀化したガラス製品の破片を利用している。

10.ヴェネチアビーズ
 紀元後12世紀頃からイタリア周辺で作られはじめ、権力者や貴族のための宝石のイミテーションとして使用されていた。紀元後16世紀から紀元後18世紀頃にかけて大型でカラフルなビーズが作られるようになりアフリカや東南アジアへ輸出されていた。また、紀元後17世紀頃にはヴェネチア(現在のイタリアのヴェニス)特有の円筒型トンボ玉が作られ、インドネシア、アフリカおよび北米に輸出されていた。

11.シェブロン
 ヴェネチアビーズの一種で紀元後14世紀頃にヴェネチアムラーノ島で作られた。その後、技術が近隣諸国に広がり紀元後15世紀から紀元後16世紀頃にオランダでも作られるようになった。主にアフリカとの交易品として使われ、権力の象徴となった。

12.ボヘミアビーズ
 別名チェコビーズとも呼ばれ、紀元後16世紀から紀元後17世紀頃にチェコ西部のボヘミア地方で作られた。現在ではチェコで作られたビーズを総称してボヘミアビーズと呼ぶこともある。カリガラス(木炭を含んだガラス)で作られるのとファイヤーポリッシュ(機械でカット後、高熱で表面を溶かす技法)という技法で作られるのが特徴で、硬くてツヤがあり透明度が高い。